自分の場合は,かつらをスタートしてよかったと思う。 自分に自信をつける道具と思えばよいのではないだろうか。 毛があればモテるわけではない。 しかし,毛あることで積極性が持てるなら,モテる。 そういうことだ。 しかし,それでも毛と引き替えに失うものは大きい。 行動に制約が入る。 それまで,中学,高校時代の友人らと何年かに1回,旅行に行っていたが,それ以来,参加しなくなった。 何せ昔の仲間である。宿でふざけ合うことはよくあった。 かつらを着けていたらひとたまりもない。 ゴルフコンペでは風呂に入るのもためらわれる。 汗をかいたあとだから,皆頭は洗っているのに,自分だけシャンプーできない。 だが,それ以上に問題なのは,シャツである。シャツを脱ぐときに,どうしても動くのだ。脱衣場の隅で,壁に向かって脱ぐしかない。 脱いだ後,体を前に屈めたままで,かつらの位置を整え,それから体を起こすのである。 着るときも同様だ。 ちなみに,『シャンプーも可能です』という宣伝をしている店があるが,限りなく誤解をまねく表現である。 あれはシャンプーしても外れないという意味であって,人前でシャンプーしてもばれないという意味ではない。 触れば動くのだから,ばれないわけがないのだ。 趣味で野球をやっているのだが、試合も困った。 試合前後にホームベースに整列し,お互い帽子をとって挨拶する。これができない。 あんなに勢いよく帽子を脱げば,動くこと間違いないのだ。ヘタすりゃ,いっしょに外れる。 で,どうしたかと言えば,帽子のつばを持って,頭を下げるだけ。帽子はかぶったまま。 端から見ればマナーの悪い人だと思われるかもしれないが,仕方がない。 本当に苦労の連続である。 |
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