その22 藁をもすがる



ちょっと目先を変えて,治療の話をしよう。
かつらユーザーは、そうでなくても搾取の対象になりやすい。恐るべしコンプレックス商法。
まずは民間療法だ。
ご存じのように,科学の香りのするものから,あからさまに怪しいものまでさまざまな民間療法が伝わる。
唐辛子を日本酒につけ込んだやつを塗る
ミカンの皮でこする
シャンプーを使わず,石けんで洗う

残念ながら,こうしたものはほとんど効かない。
皮脂による脱毛なら効くかもしれないが,男性型脱毛,つまり,遺伝子の指示による脱毛には無力だと思った方がよい。
だが,誰もが同じ道を歩むのだ。

さらに怪しいのが,さまざまな薬もどきである。
実際,検索してみるとものすごい数の養毛剤がある。
その中には薬事法に触れる,つまり医薬品でないのに,薬としての効果を謳ったものも多数ある。
実際,あたれば大もうけできるので,この分野には参入者があとを断たない。

たまたまダイエット食品製造をやっている人と知り合い,おもしろい話を聞かせてもらった。
残念な話ではあるが,悩みをネタにする商売の大半は「どうしたら役に立つだろう」ではなく
「どうやったら儲けられるだろう」という視点で事業を行っている。

なにせ利益幅はスゴイらしい。
そういう異業種参入を支援するコンサル業者までいるのだ。
依頼すると,さまざまな扱い商品を紹介した上で,広告に顔写真入りで登場する役者さんまで用意してくれる。
医学博士や,なんとか研究所の「推薦の言葉」だって作ってくれる。
「資金さえあれば,あなたにもできますよ」と,その人は語ってくれた。

もしかすると,こういう悪徳業者とは別に,良心的な業者もいるのかもしれない。しかし,それを見分けるのは,残念ながら難しい。


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