ロゲインの日本での発売を期待しつつ、国産の効かない育毛剤を日々試した。 何しろ、日本では海外の医薬品を入手する手段は無かったのだ。 インターネットで医薬品の個人輸入ができるようになるのは21世紀になってからである しかし、そんなある日,筆者には千載一遇のチャンスが巡ってきた。 アメリカのサンディエゴへ出張することになったのだ。 小躍りしてよろこんだ。「これでロゲインが入手できる!」 しかし,それをどうやって買ったらよいかわからなかった。 今なら「ぐぐれ」(=googleで検索しろ)で終わりだが,当時はインターネットなんて便利なものはなかった。 正確には、なかったわけではないのだが,今のようにWEBが広く使われている時代ではなく,情報を集める場ではなかった。 (インターネットは、元は学術用ネットワークだった、と言ってもわかる人は今時ほとんどいないだろう) 結局、時間切れ。調べる手段もなく、何一つ情報がないまま、渡米したのだった。 サンディエゴはいい街だった。アメリカ海軍の第七艦隊の基地で有名な街である。基地がある街というのは一般的に治安がいい。 夜中に一人で歩いても不安がないほどだ。アメリカではどちらかというと珍しい部類に入る。 美しいサンディエゴを前にして、本当は観光でもしたかったが,それどころではなかった。 ロゲインを手に入れなければ... とりあえず薬局に入った。乏しい英語力を駆使して必死に店主に尋ねる。 が、その店にはおいてないという。 薬局を何店かまわっても答えは同じだった。 だが、4店目の薬局で、ついにいい返事が返ってきた。 「あるよ」だが、店員は言葉を継いだ。 「ロゲインはあるが,診断書が必要だ。」 診断書だぁ!? 医師の処方箋がないと、買えないというのだ。 初めての海外で、処方箋なんてどうやって書いてもらえばいいのか... 困った顔をした私を見て、その店員はなにやらメモを書いてくれた。 「ここへ行って、これを見せろ」 「さ、さんきゅー」 意味するところはよくわからなかったが、言われたとおりにするしかない。 さっそく,紹介された診療所へ行った。 そこでは、医者からいくつか口頭で、質問を受けた。頭は見もしなかった。 10分足らずで終了。それだけで処方箋が手に入った。 だが、それだけで2万円近く取られた。ひどい話である。 大枚はたいて書いてもらった診断書を持って 薬局に引き返し,ようやく購入できたのである。 よくあんなめんどくさいことをしたなぁと今にして思う。髪への欲求おそるべし。 もっとも、数年後,ロゲインは診断書なしで誰でも買えるようになった。あの苦労はなんだったんだ。 そこまで苦労して買ったロゲインであるが,決して効いたとは思えなかった。 期待していただけに、落胆も大きかった 最新鋭の育毛剤も効かないなんて。いよいよ,かつらを考えなくてはもう手遅れになる... だが、いきなりカツラなんて...もちろん、周りにばれるじゃないか。 どうしよう... |
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